ブログネットワーク事情 カテゴリーアーカイブ

2007年04月15日

GoogleのDoubleClick買収--狙いと影響は?

この週末、オンライン上は「GoogleによるDoubleClick買収」の話題でもちきりのようです。このディールについては、CNETITmediaなどで詳細の一部が伝えられていますが、もう少し詳しく知ろうと英語のニュースサイトやブログを漁ってみました。そこで浮かんできたのは:

1.Microsoft、Yahooを意識した競合対策
2.「育てるより、買ってしまえ」という戦略上の判断

という2つの大きな要因でした。

この2点は、New York Timesの記事("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion")でも、News.comの記事("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion")でも指摘されています。


1については:

“Keeping Microsoft away from DoubleClick is worth billions to Google,” an analyst with RBC Capital Markets, Jordan Rohan, said. “Yet again, Microsoft is on the sidelines and away from the action.”
("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion"@NYTimes)
Forrester analyst Charlene Li said Google can not only better compete with Yahoo's strong display advertising business but make it even harder for Microsoft, which recently launched its own search advertising system, to jump in.
("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion"@News.com)

そして、2についても以下の通り:

Google, for all its outsize reputation, has made most of its money in the online basics: the text-based search engine and small text ads that are like the Yellow Pages of the online advertising. DoubleClick’s strength, by contrast, lies in flashy banner ads and, more recently, video ads that are more like high-end magazine or television ads. Google has taken steps in the last year to enter display advertising by expanding its AdSense program but has not gained great traction.("Google Buys an Online Ad Firm for $3.1 Billion"@NYTimes)
The DoubleClick purchase is worth the price for Google, Li said. "Google has been trying to get into the display ad market for years. It was going to be a long slog for them to compete with DoubleClick for those advertiser relationships."
("Google buys ad firm DoubleClick for $3.1 billion"@News.com)

新聞やラジオ、テレビ関連の広告市場への参入も進めるGoogleが、昨年秋にはメインストリーム広告の中心地であるニューヨークに大規模な拠点を構えていることを踏まえると、おそらく「ディスプレイ広告に関するクライアントとの『関係づくり』が、思ったほど簡単に進んではいない」という部分が下敷きにあり、その上に「ディスプレイ広告のプラットフォーム分野で優位に立つDoubleClickが、競合他社の手中に落ちそうだ」という可能性が浮上したことで、「それならこの際買ってしまおう」という判断につながったのではないでしょうか(ちなみに、DoubleClickとGoogleのニューヨークオフィスは同じビルのなかにあり、従業員同士もよくお喋りする仲だ、との記述が上記News.com記事中には見られます)。

なお、この種の防御的企業買収は昨年秋のYouTube買収でも見られた、金満Goolgleの「お馴染みのパターン」かもしれません。

いずれにしても、このディールによって、Google-DoubleClick自身とパブリッシャー各社にはそれぞれ新たなジレンマが生まれることになりそうです。とりわけ、著作権関連の問題でGoogleとの仲がシックリといっていない大手パブリッシャー/メディア企業は現在も複数存在するわけで、それらの企業にとっては(少なくともオンラインでの)収入源をささえるDoubleClickのプラットフォームがGoogleの影響下に置かれる、という可能性は心休まるものではないでしょう。

ただし、そうした懸念などについては当事者側も強く意識しているようで、DoubleClickのCEO、David RosenblattはNYTimesとのインタビューのなかで以下のように語っています。

The sale raises questions about how Google will manage its existing business and that of the new DoubleClick unit while avoiding conflicts of interest. If DoubleClick’s existing clients start to feel that Google is using DoubleClick’s relationships to further its own ad network, some Web publishers or advertisers might jump ship.
Most of DoubleClick’s clients are locked into long-term contracts to keep using DoubleClick. And DoubleClick’s chief executive, David Rosenblatt, said in an interview last night that the company would protect its ability to remain neutral with its clients.
"We are exquisitely sensitive to our role as Switzerland," Mr. Rosenblatt said. "In the simplest sense, they bought customer relationships, and they’re primarily focused on making sure not only are those relationships preserved but that they are enhanced and made better."

なお、このニュースに関連して"A VC"ブログのFred Wilsonは、「これはバナー広告が復権する証拠のひとつ」という興味深いコメントをしています(同氏がそう主張する理由は、ひとことでいうと『キーワード市場の飽和』で詳しい説明は以下の通り):

Many marketers have reached the point that they can't easily buy more search. It's getting harder. Keyword markets are becoming efficient and supply and demand are coming into balance. Of course, that alone doesn't mean that all the other money will move into banners. Banners also need to produce measured returns.
But, banners carry branding value that text ads don't. The return on investment measure is not as cold and hard with banners. And the big branded advertisers that are leaving TV and print in search of better performance on the internet want to be able to brand with their ads. And they want to control where those ads are run. They'll pay more for those two features.
"The Banner is Back"

また、"Publishing 2.0"のScott Karpは、「Googleが、これまでの超効率的なシステムありきの広告配信プラットフォームに加えて、人(=「人間関係」)が牽引する広告プラットフォームを生み出そうとしている」と指摘。このエントリの最後の部分には、以下の一文が見られます:

"People aren’t nearly as efficient as machines, but that doesn’t mean they can’t be programmed to feed Google’s money making machine.”
("Google Acquired DoubleClick To Create A People-Driven Advertising Platform")

2007年04月04日

もう「広告」と呼ぶのはよそうか。---『クチコミの技術』を読んで

コグレ(マサト)さん@[N]ネタフルと、いしたに(まさき)さん@[mi]みたいもん!の共著「クチコミの技術」を遅蒔きながら読み終わりました。『Cluetrain Manifesto(書籍邦題は「これまでのビジネスのやり方は終わりだ
—あなたの会社を絶滅恐竜にしない95の法則
」)』や『Naked Conversation(邦題:「ブログスフィア—アメリカ企業を変えた100人のブロガーたち」)』の系譜に連なる正統派の一冊、との印象を抱きました(『クチコミの技術』についての書評は、すでに有力ブロガー各氏が公開されていますので、もっと詳しく知りたい方は、版元である日経BP社の専用ブログなどから、これらの書評にアクセスしてみてください。

それにしても。
この『クチコミの技術』には「広告に頼らない共感型マーケティング」という副題が付されています。そしてAMNは、著者である御両人の活動を支援する手段として、「本丸」ともいえる[N]ネタフルと[mi]みたいもん!に「広告」枠を設け、そこに広告を配信することを生業としています。何たる矛盾!

「個」がこれほど重要になっている時代に、不特定多数の相手に向けて同じメッセージを発することには、もはや限定的な意味しかない(受け取る側の立場にたてば、基本的には誰しも「名もなき大衆」のなかの一人としてよりも、自分という「一人の人間」として認識され、扱われたほうが嬉しいはずだから)・・・そんなふうに考えている者としては、別にもう「広く告げる」ことを目的としたサービスを商うこともないか・・・という気もしなくはありません(むろん、ネットベースのクチコミがきちんと機能すれば、「広く告げる」ことも含めて以前には望めなかったような成果が収められるのは、『クチコミの技術』のなかで具体的に語られていることですが)

AMNの扱う商品が「広告」ではないとした場合に、ではいったい何と呼べばいいのか?

BonB広告などが狙いとしているのは、一方的に「広く告げる」ことを意図して出されるメッセージへの誘導ではなく、「井戸端会議へのお誘い」とも言えるものです。その点を加味し、かつそれらしい名称を付けるとすると、たとえば『ITC』("Invitation to Conversation"の頭文字)などが思い浮かびますが、これもまだしっくりと来ませんし、それで良いのかどうかについても自信も持てません。

とりあえずなにか良い代案にめぐり会うまでは「広告」商品という呼び方を続けますので、これっ!という名案を思いつかれた方は気軽にトラックバックでお知らせください。

2007年03月15日

マーケターが「ピープルメディア」と協力するべき理由

meetme120x41.gifおとといまでテキサス州オースチンでSXSW Interactive 2007が開催されていました。このイベントにはブログネットワーク関係者もたくさん参加しています。当地で開催されたパネルディスカッションに関連した記事をひとつ、ご紹介します。

SXSW:マーケターがピープルメディアと協力するべき理由
2007年3月14日 by Sean Ammirati(mSpoke)

「ピープルメディア」とは、「ソーシャルメディア」「read/writeメディア」「対話メディア」「ユーザー生成コンテンツ」といった言葉でも知られているものです。

ピープルメディアと従来のメディアの違いを端的にあらわすものとして、Ammirati氏は米国のブログネットワークFederate Media Publishingの例を挙げています。このネットワークの特徴のひとつは、ブログの著者が自分のサイトに表示される広告を拒否できることです。

「(ブログの)著者が、自分のサイトに出稿する企業を承認できるようにすることは、当たり前のことだと思うかもしれない。しかし、従来のメディアではこうしたことは行われていない。これは画期的なことなのだ。(略)自分のサイトへの出稿を許すということは、その企業を自分のサイトでの会話に招くことに等しい。そこには許可と信頼関係がある。現在、FMが販売している広告はすべて、事前に各ブログの著者の承認を得てから掲載されている。当初は著者の承認が得られないのではないかという懸念があったが、(略)結果的には対話が生まれ、新しい形のオンラインマーケティングが次々と実現することになった」(パネリストのひとりで、FM社長のBattelle氏)

拒否といっても、広告の掲載を拒否された広告主は全体の1-2%にすぎないそうです。それに対して、クリエイティブの改善を求められた広告はたくさんあり、これが「広告クリエイティブの進化」につながったとか。

Ammirati氏はウェブが今後、ますますソーシャルなメディアになっていくことは間違いないが、こうしたページはマネタイズが難しく、ピープルメディアを支えている個人に報いる方法を考えることが重要だと指摘しています。

とはいえ、それには時間がかかります。Battelle氏は、このプロセスを検索エンジンが登場してからマネタイズが可能になるまでの歴史になぞらえています。現在、検索広告は数十億規模の事業に成長していますが、そのためには適切な測定基準(クリックあたりのコスト)と広告ユニット(テキスト広告)の登場を待つ必要がありました。

インタラクティブ広告/メディア業界がこの問題と格闘していけば、いずれはピープルメディアでの広告に適した測定基準と広告ユニットが登場するはずだ。しかし検索の世界がそうだったように、ピープルメディアでもそれには時間がかかるだろう。

ブログというメディアを生かした新しい広告のあり方とは何か――AMNもこの点を模索し、提案していきたいと考えています。

2007年03月02日

ブログネットワークの可能性

少し古いのですが、半月ほど前のBusiness Week Onlineに米国のブログネットワークに関する記事が載っていました。

記事によれば、「何百万人もの人がブログやニッチなウェブサイトを運営しているが、なかなか自分の情熱を生計につなげることができていない」という現実(日本でもそうですね)に対するひとつのソリューションとして、ブログネットワークが登場し、急成長を遂げていると書かれています。AMNも、こうしたブログネットワークのひとつです。ブロガーのみなさんに対するAMNの思いは、昨日の坂和の熱くて長い(笑)エントリをごらんください。

米国の大手ブログネットワーク、Federated Media Publishing(FMP)のJohn Battelle氏は、ブログネットワークについてこう語っています。

「(ブログネットワークは)音楽レーベルのようなものだ。(ブログネットワークが)ブロガーの知的財産をコントロールすることはないし、何を歌えと強制することもない」

企業にとっては、これらのブログネットワークはどんな意味を持っているのでしょうか。米Hewlett-Packard(HP)はブログネットワークを利用したオンラインキャンペーンを実施する予定だとか。HPの担当者は記事の中で、ブログネットワークの魅力を「ユニークな方法でブロガーのコミュニティに入ることができる」ことだと述べています。ブロガーのコミュニティは、従来の雑誌広告やテレビ広告ではリーチすることが難しい層でもあります。ブログネットワークが急成長を遂げている背景には、ブログの影響力が企業のマーケティング部門や広報部門にとっても意味を持つほど、高まってきたことを意味しています。

AMNブログでは、AMNに限らず、世界のブログネットワークやその活用事例をご紹介していきたいと思っています。今後ともよろしくお願いします。