黒田クン(仮名)は専門学校を出たての新米デザイナーながらも、グラフィックにおけるセンスの良さから顧客満足度はバツグン。
僕もふくめ周囲のスタッフはみな「負け」を認めざるをえないほど、彼のあふれ出る才能は素晴らしいものだった。凡人が積んだキャリアなど、若き天才の前では一蹴されてしまう程度のものだと痛感した。
ある日、その黒田クンが手持ちぶさたにしていたので、僕はExcelシートをわたして請求書の書式に落とし込んでくれるようお願いした。ところが・・・
『これでいいですか?』
Macのモニタに映し出されたものを見て愕然、まわりからはクスクスと失笑も。なんと彼は「Adobe Illustrator」で表を組んでいたのだ(涙)
考えてもみれば彼が入社してからずっと、デザインの仕事しかお願いしていなかった。そうなるのも無理はない。
いまクリエイターを目指している人のなかにも、Adobeのソフトさえ使えればいいなんて思ってる人はいないかな?
クリエイターである以前に社会人としてMicrosoft Officeのスキルは必須。なんたってシゴトですから。
請求書だけでなく、原稿素材の受け渡しやスケジュール管理など、クリエイティブ現場の様々なシーンでMicrosoft Officeは絡んでくる。
クライアントの環境によってはExcelを方眼紙がわりに、ページレイアウト案をやりとりし合うなんていう力技も(笑)
さて後日のこと、そんな黒田クンがまかされたのは、ある家電メーカーのウェブサイト更新作業。
なんでも新製品が発表されたとかで、従来品との違いをグラフにして掲載したいとのこと。手渡された資料はExcelの表のみ。しかも締切は3時間後までと非常にタイト。
彼は困った。
ページレイアウトやグラフィック作成なんかは優れた感性で難なくこなせても、こういったカタい仕事でスマートにグラフを描くのは案外むずかしいものだ。
なんとか頑張って折れ線グラフをつくってみたものの、クライアントからは「もっとビジュアル的にインパクトのあるものを」というダメ出しが。この時点でのこり一時間を切っていた!
でも大丈夫、Excelなら表をそのままグラフとして描画してくれるし、テンプレートは面グラフでも円グラフでも棒グラフでも等高線でも何でもありだ。締切も目前に迫っているし、これを使わない手はない。
ファイルメニューから「Web ページとして保存」を行えば、グラフをPNG画像として書き出すことができる。その画像を使えばじゅうぶん締切に間に合うでしょ。
デザイン用のドローソフトにもグラフを描画する機能はあるけれど、数字や表を扱うならやっぱりExcelが強い!悩むことなくカッコいいグラフが断然はやく描ける(というか自動生成だけどね)。
こうして黒田クンは、かっこいい3Dの立体的なグラフで、クライアントのOKを勝ち取ったのだった。
「Excel 2008:Mac」では一新されたユーザーインターフェースで、グラフのタイプ選択からデザインのカスタマイズまでより直感的に行えるようになった。これまでExcelに苦手意識を持っていたクリエイター諸氏でも、プリデザインツールとしてバリバリ使い倒せるんじゃないかと思う。
・・・とはいえ、クリエイターたるものAdobeのツールで神の宿る瞬間まで作り込みたいという人もいるだろう。でも手を抜けるところではとことん抜いて、彼女とデートでもしてたほうが次の大作へのインスピレーションが醸成されると思うよ。