伊藤潔人が語る 進化したExcelが変えるワークスタイル

Excel 2010の2つの方向性

新しく発売になったOffice 2010の中で、オフィスワーカーのみなさんがもっともよく利用しているExcelは、大きく分類すると2つの方向で進化しています。1つは「より簡単に操作できる」という方向の進化で、もう1つは「より素早く分析できる」という方向の進化です。

リボンがカスタマイズできるようになったことや貼り付けプレビューなどは、「より簡単に操作できる」という方向の進化で、新機能のスパークラインやスライサー、条件付き書式の機能アップなどは、「より素早く分析できる」という方向の進化です。

貼り付けプレビューやスパークラインなどは既に多くのメディアで紹介されていますが、多くのオフィスワーカーのみなさんが使うはずなのに、まだあまり紹介されていない機能をご紹介したいと思います。 「より素早く分析できる」方向の進化で、おそらくスライサーなどよりも実際に利用する方がはるかに多い、オートフィルタの機能アップです。

便利なフィルタ機能の[検索]ボックス

データベースから何らかのデータを抽出する作業は、並べ替えとともに分析の第一歩というべき操作で、オフィスワーカーのみなさんがExcelでよく行っている操作の1つでもあります。そんな抽出作業がExcel 2010ではより素早く簡単にできるようになっています。

フィルタのドロップダウンリストの中に、文字を入力すると表示されているリスト項目が自動的に変化する[検索]ボックスができたのです。

下図がExcel 2010のオートフィルタのドロップダウンリストを表示したところです。[テキストフィルター]コマンドの下にうっすらと「検索」という文字の見えている[検索]ボックスがご確認いただけるでしょう。

フィルタ機能はExcel 2007のときに機能アップしていて、下図のようにリストから抽出したい項目をチェックボックスで指定できるようになっていました。

リストからチェックボックスで指定できるようになったことで、[オートフィルタオプション]ダイアログを使った条件指定が苦手な方でも、データの抽出ができるようになったわけです。しかしExcel 2007のフィルタリストには課題もありました。リストに表示される項目が多い場合、該当する項目をリストの中から探すのが大変でした。例えば上図のように多くの項目が表示されているときに「東京都中央区」という項目をリストの中から探すのは、かなり大変です。

このような場合、結局2003以前のExcelから存在していた[オートフィルタオプション]ダイアログを表示して、下図のように抽出条件を指定するほうが簡単でした。

これがExcel 2010の[検索]ボックスによって改善されたのです。

Excel 2010の[検索]ボックスでは文字を入力するだけで、入力された文字を含む項目がリストに自動的に表示されます。 例えば「住所」フィールドで[検索]ボックスに「中」と入力すると、下図のような状態になります。リストに「東京都中央区」「東京都中野区」という「中」という文字の含まれている項目だけが表示されています。

「中央」と入力した場合には、下図のように「東京都中央区」という「中央」という文字の含まれている項目だけが表示されます。

Excel 2007のように「東京都中央区」を一生懸命探す必要はありません。この状態で[OK]ボタンをクリックすれば「東京都中央区」のデータだけを抽出できてしまいます。

数値でもワイルドカードが使える

[検索]ボックスは基本的には部分一致で候補を表示してくれますが、「*」「?」といったワイルドカードを使った指定もできます。 一般的にワイルドカードは文字に対して有効なものですが、[検索]ボックスでは数値データでもワイルドカードが使えます。 例えば、「年齢」のフィールドで30代の人だけを抽出したいという場合、任意の1文字を意味するワイルドカード「?」を使って、[検索]ボックスに「3?」と指定すれば、「3」ではじまる2文字の候補、すなわち「30」から「39」までの項目だけがリストに残ります。(なお、ワイルドカードを利用せずに「3」と入力した場合、「23」「43」「53」といった30代ではないけれど「3」の含まれている項目も表示されます。)

[検索]ボックスのなかったExcel 2007でこのような抽出条件を指定したい場合、「30」から「39」までのチェックボックスを1つずつ根気よくクリックしていくか、

[オートフィルタオプション]ダイアログで条件を指定しなければなりませんでした。

OR条件での抽出も簡単に

さらに[検索]ボックスを使って、OR条件(または条件)での抽出も簡単にできるようになっています。 30代の人を抽出した後に、60代の人も合わせて抽出したい場合、[検索]ボックスに「6?」と入力して60代の項目だけがリスト表示されたところで、下図のようにリスト内の[現在の選択範囲をフィルタに追加する]チェックボックスを使うと、30代または60代という条件で簡単に抽出ができます。

Excel 2007でこのような抽出をしたい場合、「60」から「69」のチェックボックスをあらためて1つずつ根気よくクリックしていくか、オートフィルタによる抽出をあきらめて、下図のように事前にワークシート上に抽出条件を入力して[フィルタオプションの設定]ダイアログを使った抽出をするしかありませんでした。

ちなみに、ワークシート上に抽出条件を入力しておいて[フィルタオプションの設定]ダイアログを使った複雑なデータ抽出をできるオフィスワーカーの方は、非常に少ないのが現実です。

最後に

ご紹介してきたように、Excel 2010のフィルタ機能の[検索]ボックスを使うと、以前なら[フィルタオプションの設定]ダイアログを使わなければできないような、複雑な条件でのデータの抽出までできるようになっています。

以前なら「こんな条件でデータを抽出したい」という発想はできても、抽出条件をどう指定していいかわからないために諦めてしまっていたような方でも、データ抽出ができるようになったといえるでしょう。

今回ご紹介した[検索]ボックスの他にもExcel 2010では、「より簡単に操作できる」「より素早く分析できる」という2つの方向で、便利な機能が増えています。是非多くの方にExcel 2010のことをもっと知っていただき、使いこなしてもらい、オフィスワーカーとしてステップアップしていただきたいと思っています。

ブロガー 伊藤潔人さん

インストラクターのネタ帳は、Microsoft Office製品の便利な使い方やFAQなどを中心に情報発信をしているブログ。読者や生徒からの質問に対する回答を中心に、できるだけ実務で役立つ情報を紹介するというコンセプトで、2003年10月から運営されている。執筆者の伊藤潔人氏は、業務アプリケーション開発、ネットワーク管理、Webシステム構築や、それらに関連したヘルプデスクなどを経験後、フリーのパソコンインストラクターとして独立。主に企業内研修・離転職者向け講習の講師等を行っている。

インストラクターのネタ帳
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