SDXCで変わる文字情報の富豪的未来

SDXCはマルチメディアの利用が多そうだが、私は電子書籍や文書ファイル周りに与えるインパクトについて考えてみる。

最高容量の2TBは、テキスト主体のデータにとってほとんど小宇宙である。。本1冊のデータ量を、457KB(*)とすると、2TBのメモリ内に437万冊を保存することができる。巨大な図書館だ。国内で新刊書籍は年間7~8万冊程度が出版されているのだが、実に50年分以上を持ち歩けてしまうことになる。一生かかっても読みきれないことは間違いない。ぜひSDXCにはキーワード検索エンジンを内蔵してもらいたい。

2TBは単体の電子書籍の販売パッケージとしては容量が大きすぎるが、映画評論(テキスト)+映画100本(映像)なんていう商品設計が可能になる。廉価で販売されている昔の名画全部入りなんて商品が出てくるのではないか。教科書+授業映像でイーラーニングにも適しているだろう。もちろん、iPadで再生するのだ(将来SDXC対応すると仮定)。これ1枚でMBA取得とか、「映画検定」「世界遺産」合格! 学習セットとか、マルチメディア統合電子書籍のパッケージングはアイデア次第な気がする。

ムーバブルな個人の文書フォルダとしてもSDXCは可能性を感じる。2TBならばワークスペースとして余裕で使える。大容量を活かして、これまでに見たすべてのWebページやメールをすべてメモリに保存するなんていう技も可能だ。あの情報はどこで見たっけということがなくなる。仕事で作成したすべての文書ファイル(すべての変更履歴つき)を持ち歩くことも可能になる。10年分、20年分と蓄積したらほとんどその人物のキャリアを持ち歩くのとおなじになるだろう。

SDXCはクラウドサービスにとって脅威になるかもしれない。2TBのSDXCが廉価に販売されるようになれば、個人の文書アーカイブとしての有料ディスクスペースと競合する。現在もDropboxなどの有料サービスがあるが、テラ単位のスペースを借りるのは相当高額のため、バックアップ先としては容量不足である。「SDXCに文書はバックアップして置いておきましょう」が常識になったりする日も来るかもしれない。(HDDへのバックアップは故障が心配だし)。こうした利用では暗号化や認証などのセキュリティ機構が必要になるだろう。

いろいろ考えてみたが、2TBが指の上に乗るというのは、現時点ではちょっとした革命だ。日常の用途では使い切ることが難しいように思える。だが、SDXCが普及して誰もが使う時期になったら、ヘビーユーザーたちは、ハードディスク利用と同じように、容量が足りない、足りないと愚痴をいうのではないだろうか。新しい技術が新しい用途と富豪的利用形態を生み出すおかげで容量は常に足りないのがストレージ周辺の歴史であり、面白いところだと思う。

そのうち“インターネットが全部入る”メモリが出るのじゃないかなあ……。

*本1冊のデータ量は総務省らによる「日本のブログ-ブログコンテンツ量の推計とブログ開設者の開設要因等の分析―」内の数字を根拠とした。
http://www.jotsugakkai.or.jp/doc/taikai2009/yokou/ippan/saeki.pdf

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Passion For The Future

2003 年9月1日の開設以来、多彩なジャンルの書籍やソフトウェアのレビューが数百本に渡って掲載されている「情報考学 Passion For The Future」は、ナレッジワーカーにとって、日々チェックを欠かすことのできないブログとして名高い。執筆者の橋本大也氏は複数の企業の取締役を務めながら、「百式」の田口元氏と共に「無敵会議」シリーズを手がけ、多くの人々の支持を集めている。2006年11月には本ブログの過去記事を編纂した書籍『情報工学?WEB時代の羅針盤213冊』(主婦と生活社)が刊行された。

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